私は遺品整理士のプロで、日々、ご遺族に代わり遺品整理をさせていただいております。
その業務内での経験や感じたことを通して「終活」、特に片付けは元気なうちに!と言い続けています。
今回「終活は誰のために行うのか」について発信させていただきます。
終活カウンセラー協会では、「終活」を
「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」
と定義しています。まさしく自分のための終活です。
周りの人に迷惑を掛けないためにと、終活を考え始める方がいらっしゃいます。
逆です!
自分のために行った終活が、時間を経てやがて周りにいる家族たちのためになるのです。
例えば終活の中の一つ片付けで、「遺品整理で大変な思いをさせないように片付けておこう」と
せっせと物を処分します。行動自体は非常に良いことですが考え方が一つ先に行っています。
終活の片付けを考えている今、体は動いているはずです。いわゆる元気なはずです。
でしたら、いきなり遺品整理を考えるのではなく、家庭内事故を防ぐ片付けです!
まずは元気な状態を保てるように、家庭内事故で介護が必要な状態にならない片付けが先です。
◆椅子を使用し、高い場所に収納してある物を取ろうとして落下
→足骨折 →入院 →介護
◆階段に滑り止めや手すりがなく誤って落下
→肋骨骨折 →入院 →介護
◆小型家電のコードに躓き転倒
→手首骨折 →入院 →介護
◆入浴中に滑って転倒
→骨盤骨折 →入院 →介護
上記はすべて実例です。
日常生活の中、一番安全だと信じて疑うことすらない家庭の中で、ある日突然、事故は起こります。
そうなれば周りの人は、自宅を介護できる環境に整えないといけません。
しかも入院期間内という短い時間の中で。もちろん入院中のお世話も、仕事も、家事も同時進行です。
遺品整理より迷惑を掛けることになりませんか?
遺品整理にはある程度の時間に余裕があります。
通夜・葬儀後に気持ちの整理が付いたら遺品整理を行う場合が多いです。
賃貸物件に暮らしていた場合は、家賃が発生するため長期間そのままにしておくわけにはいきませんが、
いきなりの介護よりは時間に余裕があります。
なによりご自身が痛い思いをした上、周りの人に迷惑を掛け申し訳ないと恐縮し、
介護環境に意見を言いづらくなっていきます。
今をより良く、自分らしく生きるためには、元気な状態を保てるように、
家庭内事故で介護が必要な状態にならない片付けからです。
決して遺品整理を想定して始めるものではありません。
◇椅子を使用し、高い場所に収納してある物を取ろうとして落下
→椅子などを使用しないと取れない場所には物を置かない
◇階段に滑り止めや手すりがなく誤って落下
→滑り止めや手すりをすぐ取り付ける
◇小型家電のコードに躓き転倒
→生活動線上にコードが出ないようにする、配置を変える
◇入浴中に滑って転倒
→滑り止めを敷く、手すりをすぐ取り付ける
家庭内は誰にとっても安全で安心でなければ安らぐ事ができません。
一般道路での事故より家庭内事故の方が遥かに多いことを認識し、
自分のために終活を今すぐ始めてください。
投稿者:篠田